著者
高橋 年光 茂田 士郎
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.5-8, 1997-06-10 (Released:2010-07-21)
参考文献数
5

職場における作業衣等の除菌・消臭・除塵・乾燥を目的に開発された遠赤外線を用いた装置であるクリーンキャビネット (インフラクリーン) について, その除菌効果を検討した. 107~108 colony forming units (cfu) /mlに調整したEscherichia coli, Pseudomonas aeyuginosa, Staphylococcus amus (MRSA) および104~105cfu/mlに調整したCandida albicansの菌液0.1mlを滅菌した試験布に接種し, 室内およびインフラクリーン内に放置した. そのあと, 放置直後と4時間後, 8時間後に試験布に付着した菌数を定量し, その除菌効果を比較検討した. インフラクリーン内に置かれた試験布に付着した菌数は, E.coli, P. aeyuginosaおよびC.albicansが4時間後2.5×102cfu/ml以下へ, MRSAは4時間後7.5×102cfu/mlまで減少し, 8時間後には2.5×102cfu/ml以下となった. 一方, 室内に置かれた試験布に付着した菌数は8時間後においてもE.coliが1.3×103cfu/ml, P. aeruginosaが5×103cfu/ml, MRSAが7.5×103cfu/ml, C. albicansが5×102cfu/mlであった. すなわち, インフラクリーン内に4時間放置すると付着菌は102-104cfu/ml以上減少したが, 室内に放置した場合には8時間後でも10-103cfu/ml減少したにすぎない. この結果より, 遠赤外線を利用した装置であるインフラクリーンには明らかに除菌効果があることが確認できた.