著者
高橋 旨象 西本 孝一
出版者
京都大学
雑誌
木材研究・資料 (ISSN:02857049)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.31-41, 1985-02-28
被引用文献数
1

ナミダタケ被害防止のための,土壌処理用薬剤の室内効力試験方法について検討した。培養基の恭材として腐植土および鹿沼土を用い,それぞれにエゾマツ衣桁や栄養液(ペプトン1%,麦芽抽出物2%)を種々の比率で加えた12種類の培養基を作製し,菌体の発育とエゾマツ木片の腐朽重量減少率から判定した菌体活力のもっとも高くなる培養基組成を検討した。その結果,腐植土またぱ鹿沼土250gに,エゾマツ本物20gと栄養波81mlを加えた培養基がすぐれているが,入手しやすさと品質安定性から,後者の鹿沼土培養基を効力試験用として選定することが適当であると結論された。この培養基にナミダタケを十分生育させた後,乾燥鹿沼土に所定濃度の荒波を加えた厚さ3cmの薬剤処理屈を葉子ぅ上に設定し処理屈上面への菌糸の到達の有無とエゾマツ木片の重量減少率により,数種薬剤の効力を比較した。その結果,トリブチルスズオキサイド,4-クロロフェニルー3'-ヨードブロパギルホルマール,トルクロホスノテル,シクラフルアミドなどが土嬢処理剤としての適用に可能性があると判定された。薬剤処理屈の財政操作等検討を要する点は残されているが,基本的にはこの試験方法により,ナミダタケに対する土埃処理用薬剤の効力評価が十分可能であると考えられる。