著者
高橋 真奈茄 小出 洋
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.133-142, 2016-01-08

コンピュータは高度な演算が可能である一方,人物の識別などは不得手とされている.このような識別における課題の一つとして,筆跡の筆者識別が挙げられる.本稿では,機械学習を用いたアプローチからコンピュータによる効果的な筆跡の筆者識別手法を提案し,視覚情報に基づく判断論理形成についての考察を行う.提案手法では,筆跡画像を幾何学的に解析し,階層型ニューラルネットワークを用いたパターン認識によって筆者を識別する.階層型ニューラルネットワークを用いることで,より柔軟な筆者識別を目指す.また,提案手法を実装し,実装したシステムによる筆者識別実験と,改良したシステムによる処理時間計測実験を実施した.筆者識別実験では,最良で78%の識別精度を得られた.処理時間計測実験では,処理速度が8.6倍に向上した.
著者
高橋 真奈茄 小出 洋 近藤 秀樹
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.40, pp.247-254, 2017-08-10

本研究は,具体的な機能をもつソフトウェア開発を行う実践的なプログラミング演習授業のための支援環境の開発において,学習者の学習進度を把握する機能の実現を目的とする.学習進度把握機能の実現するために,同じ授業を受講する学習者の PC 上の網羅的な活動履歴を利用し,学習者ごとの活動パターンを抽出する手法を提案する.実践的なプログラミング演習授業における目標は,プログラミング言語の機能を組み合わせて具体的な機能を実現するソフトウェアを開発することである.学習者が目標を達成するためには,プログラミング熟達者が利用するソフトウェア開発環境と同等であること,つまり,プログラミング言語の機能を十分に活用できること,統合開発環境以外のツールを利用できること,仕様書や講義資料,インターネット上の情報といった様々な資源を利用できること,といった条件を満たす制約のない環境が必要である.このような制約のない環境において学習者の学習進度を把握するため,網羅的な活動履歴を利用する.その中でも,PC 上のアクティブアプリケーションウィンドウの遷移に注目する.属人性の高い情報を分析するため,K-means 法を用いた活動履歴の分類を試みる.実際に開講されているプログラミング実習授業を受講する学習者のうち 24 名の活動履歴を分析した結果,属人性を抑えた活動パターン抽出の可能性,学習者は予想より多様性に富んだ活動パターンを示すこと,同じ授業を受講する学習者は制約のない的環境であっても共通したアプリケーションを利用することが示唆された.