著者
高橋 真奈茄 小出 洋
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.133-142, 2016-01-08

コンピュータは高度な演算が可能である一方,人物の識別などは不得手とされている.このような識別における課題の一つとして,筆跡の筆者識別が挙げられる.本稿では,機械学習を用いたアプローチからコンピュータによる効果的な筆跡の筆者識別手法を提案し,視覚情報に基づく判断論理形成についての考察を行う.提案手法では,筆跡画像を幾何学的に解析し,階層型ニューラルネットワークを用いたパターン認識によって筆者を識別する.階層型ニューラルネットワークを用いることで,より柔軟な筆者識別を目指す.また,提案手法を実装し,実装したシステムによる筆者識別実験と,改良したシステムによる処理時間計測実験を実施した.筆者識別実験では,最良で78%の識別精度を得られた.処理時間計測実験では,処理速度が8.6倍に向上した.
著者
中野 由章 久野 靖 佐久間 拓也 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.155-169, 2016-01-08

わが国の初等中等教育における情報教育は多くの問題を抱えているが,その中に「どのような評価を行うのがよいかの合意がない」「大学入学試験において情報の内容が出題されることが少ない」という点が挙げられる.筆者らは情報入試研究会として2012 年からこの問題に取り組み,シンポジウムなどを通じて各大学に情報の出題を促すとともに,望ましい情報入試の問題について探究し,公開模擬試験を通じてデータを収集してきた.本発表では,情報入試研究会の活動について紹介するとともに,作題に関する考え方,公開模擬試験で使用した問題や試験結果について紹介し,望ましい情報入試のあり方について議論する.
著者
中山 泰一 中野 由章 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 和田 勉 萩谷 昌己 筧 捷彦
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.83-88, 2016-01-08

本論文では,高等学校情報科の教科担任の現状を明らかにするため,都道府県教育委員会における臨時免許状の授与と,免許外教科担任の許可の状況を調査した.その調査結果を報告するとともに,わが国の情報教育のありかたについて考察する.
著者
岡 和人 松崎 公紀
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.9-18, 2016-01-08

「2048」のプレイヤとして,TD 学習を用いて作成した盤面評価関数を用いるプレイヤが有効であることが示されている.盤面評価関数には,盤面から特徴点の情報を抽出して部分評価値を計算する,部分評価関数の組が用いられている.これまでの研究では,盤面評価関数の性能は,数通りしか検討されていない.十分な学習が行えると仮定すれば,部分評価関数の特徴点の個数を増やし,部分評価関数の個数を増やすことで,より高性能なプレイヤを作ることが出来ると予想されるが,記憶容量をより多く消費する.また,盤面評価関数は部分評価関数の組み合わせによって得られるため,全ての盤面評価関数を調べ上げることは計算時間や記憶容量の問題から困難である.よって,記憶容量と性能とのバランスに優れる盤面評価関数を効率よく調べ,得られた盤面評価関数を用いるプレイヤがより強くなるかを調査する必要がある.本稿では,考えられる部分評価関数を列挙し,特徴点数が6 の場合で部分評価関数の性能を調査した.この結果,特徴点集合が連結成分数1 の形をとる部分評価関数の性能が高いとが見込まれることを示した.得られた高性能な部分評価関数を用いて,盤面評価関数を作成した.作成した盤面評価関数を用いたプレイヤの得点は,500 万ゲームを学習することで平均203769 点となった.また,性能の高い部分評価関数から,盤面からバランス良く特徴点を抽出するような盤面評価関数を作成した.個の盤面評価関数を用いるプレイヤの得点は,500 万ゲームを学習することで平均224562 点となり,これまで報告されているTD 学習のみを用いるプレイヤの中で最も高い得点となった.性能の高い部分評価関数を用いて,盤面からバランス良く特徴点を抽出するような盤面評価関数を用いて,GPCC(Games and Puzzles Competitions on Computers; プログラミング・シンポジウムの分科会)で提案されている「対戦型2048」で,提案する盤面評価関数をTD 学習によって作成したプレイヤが,既存のプレイヤよりも強いことを示した.
著者
赤間 仁志 川合 秀実
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.99-105, 2016-01-08

プログラミング言語の構文を自由に変更できれば,その言語の記述能力をユーザの望むように拡張することができる.しかし既存の言語では構文の拡張を,構文ルールをそのまま書き下すかのように,直感的に行うことは困難である.そこで,本稿ではプログラミング言語の構文を,ユーザが自由に拡張する手法を提案する.本手法の最大の特徴は,特殊な機能を用いず,ごく自然に構文の拡張を記述できることである.そして,この手法を元に設計したプログラミング言語Garbanzoによって,自然な構文の拡張が可能であることを示す.
著者
竹内 郁雄
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1-8, 2016-01-08

以前,私が考案した単純そうなパズル「3人の賢者」を深く掘って調べてみると,ある賢者が,持っている情報を完全には知り得ない他の賢者の思考を推論することをプログラムで表現することの難しさを実感することができた.実社会でも,他者の思考をシミュレーションすることは重要である.「3人の賢者の問題」はそういう現実的な問題の非常に小さなモデル課題となっていると思われる.今後,さらによい完璧な解法が出ること祈念したい.
著者
萩谷 昌己
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.171-177, 2016-01-08

本稿の前半では情報学分野の参照基準について紹介し,参照基準に関連してJ17について簡単に触れる.参照基準の要点は,文系と理系に広がる情報学を定義していることと,情報学をメタサイエンスと捉えていることの二つにまとめられる.二つの要点に関連して,情報学に固有の知識の体系の中から,情報一般の原理と,情報を扱う人間と社会に関する理解(社会情報学)について簡単に説明する.本稿の後半では情報教育改革について議論する.まず,情報教育改革は社会イノベーションであり,情報教育改革を目標とする活動は情報学の研究であると主張する.次に,情報教育の目標として求められる人材像について述べ,そのための教育体系について簡単に触れる.最後に,情報教育改革を達成するためには,理想とする社会像を描き,その中に情報教育を位置付けるべきことを述べ,文系と理系に広がる情報学がそれらの課題へ挑戦する期待を本稿全体の結論とする.
著者
中野 由章 久野 靖 佐久間 拓也 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.155-169, 2016-01-08 (Released:2016-12-22)

わが国の初等中等教育における情報教育は多くの問題を抱えているが,その中に「どのような評価を行うのがよいかの合意がない」「大学入学試験において情報の内容が出題されることが少ない」という点が挙げられる.筆者らは情報入試研究会として2012 年からこの問題に取り組み,シンポジウムなどを通じて各大学に情報の出題を促すとともに,望ましい情報入試の問題について探究し,公開模擬試験を通じてデータを収集してきた.本発表では,情報入試研究会の活動について紹介するとともに,作題に関する考え方,公開模擬試験で使用した問題や試験結果について紹介し,望ましい情報入試のあり方について議論する.