著者
高田 千秋
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.102, 2004 (Released:2005-04-02)

B<目的>/B 専門書だけでなく、テレビ、雑誌などのマスメディアや日常の会話においても「金銭感覚」という言葉を見聞きする。しかし、それらがどのような内容を指しているのか今まで曖昧に用いられてきた。本研究では対象を学術論文に絞り、「金銭感覚」という用語がどのように用いられているのかを調べ、その言葉の指す内容を整理することを目的とする。 B<方法>/B NACSIS-IRを使用して、題名に「金銭感覚」を含む論文を検索し、研究分野、研究形態、「金銭感覚」の用例、「金銭感覚」の扱い(定義)、「金銭感覚」の指標を分析する。 B<結果および考察>/B 研究分野には、経済学、教育学、家政学、社会学と多岐にわたる。「金銭感覚」に続く語には、高い、低い、軽い、崩れ、損なう、麻痺する、養う、歪む等様々である。ネガティブなものが多く、「金銭感覚」という言葉は良いイメージを持たれていないことが伺える。論文題目には「金銭感覚」という言葉があっても、本文中には一度も出てこないものもあった。調査の形態をとるものが約半数あり、お金に関する生活の実態調査も多い。「金銭感覚」を調査するための指標には、「大金と思う金額」や「小銭だと思う金額」などを問うものや、お金に関わる行動やお金に対する考え方を問うものなどがある。「金銭感覚」の定義を明記してあるものは非常に少なかった。こづかい、親の消費行動、金銭の貸し借りなどの交友関係の他、様々なものが「金銭感覚」に影響を与える要因に挙げられている。このように、「金銭感覚」の指す内容は広範囲にわたり、金額の大小感覚のような直感に近い感覚から、人生観や価値観を反映したものまで、すべてが「金銭感覚」という一語でまとめられていることが明らかになった。