著者
高畑 淳子 松原 篤 池野 敬一 新川 秀一
出版者
JIBI TO RINSHO KAI
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.269-275, 2002

近年、好酸球浸潤の程度が鼻内ポリープの再発に深く関与すると考えられてきている。今回、われわれはポリープと篩骨洞粘膜における好酸球と肥満細胞の浸潤が慢性副鼻腔炎の予後にどのような影響を及ぼすかについて、形態学的に詳細な検討を行った。慢性副鼻腔炎の鼻内視鏡手術初回手術例21例を対象として、手術時に、ポリープと篩骨洞粘膜を採取した。活性化好酸球、肥満細胞を免疫組織化学的に染色し、各々の部位における陽性細胞数を算出した。予後判定には術前術後の副鼻腔CT陰影をスコア化したものから改善度を求め、活性化好酸球、肥満細胞の浸潤程度と比較検討した。その結果、篩骨洞粘膜への活性化好酸球浸潤の程度と術後の改善度との間において有意な負の相関 (回帰分析:p≥0.05) が認められた。このことから、篩骨洞粘膜における活性化好酸球浸潤の程度が最も予後を反映することが示唆された。