著者
高畠 翔生子 重安 哲也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.306-314, 2020-02-15

災害発生に起因する通信障害の影響を回避するためにDTNを利用した災害情報収集システムについての研究が多く進められている.DTNでは蓄積運搬型転送により,一部に通信不能区間を含むネットワークにおいても通信を可能とする.しかし,本来,DTNは通信遅延がある程度許容される種別の情報伝達に適用される技術であり,迅速な情報収集が要求される災害時で用いるには通信遅延の大きさが問題となる.そこで,本論文は,ネットワークキャッシュにより通信遅延を削減できるICN技術を導入することで,CCN over DTNを基盤とした新しい被災情報配信システムを提案する.また,提案システムにおける,コンテンツルータの導入によって起きるトラフィック増加の問題を抑制する手法について検討する.具体的には,中継端末が蓄積・運搬するコンテンツの重複を検出し,それらを適応的に廃棄することで,ネットワークトラフィックの不必要な増加を抑制する.また,提案手法の有効性を評価した結果から,本提案手法を適用することによりメッセージの到達率を低下させずにRTTを大幅に減少できることを明らかにする.