著者
伊達 仁美 重安 哲也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.1404-1414, 2014-04-15

センサネットワークの長寿命化に対する希求から,センサノードの省電力駆動が強く求められている.Duty cycleの長い制御プロトコルを設計することによってセンサネットワークの寿命を延長することはできるが,ネットワーク負荷の高い状況下やバースト的にトラフィックが発生する状況下では長いDuty cycleを持つ通信システムではこれらのトラフィックに適応的に対処できない.本論文では,従来のセンサネットワークで広く使用される送信端末主導型MACプロトコルではなく,受信端末主導型MACプロトコルを導入することによる消費電力削減効果について検討を行う.具体的には,すでにセンサネットワーク用受信端末主導型MACプロトコルとしてStrawMANが提案されているが,同プロトコルでは,トラフィック増加にともないパケット衝突が増加するために,新たに,高トラフィック時でもパケット衝突をいっさい発生させない新しい受信端末主導型MACプロトコルを提案する.また,計算機シミュレーションによって,提案方式を導入することによって,(1)パケット衝突を解決することで送信失敗による無駄な消費電力を削減できること,ならびに,(2)送信電力を削減した場合にも,受信端末主導であれば送信の失敗が増加しないために効果的な省電力効果を獲得できることの2点を明らかにする.Due to demand for achieving longer operation life of wireless sensor network, it is needed for sensor node to save electrical energy. Although the system can extend its operation life by developing control protocol employing longer duty cycle, it can not deal with both high traffic load and bursty traffic. This paper discusses about implementation effects of receiver initiated MAC protocol to save electrical power consumption, instead of traditional sender initiated MAC protocol which is widely used in wireless sensor network. In particular, this paper proposes new receiver initiated MAC protocol destined for wireless sensor network, which can completely prevent packet collisions due to the StrawMAN which is existing receiver initiated MAC protocol can not completely prevent packet collisions under high traffic load. By results conducted from computer simulations, we clarify that the newly proposed receiver initiated MAC protocol (1) can achieve lower power operation by reducing packet collisions, and (2) can educe the effects of power saving performance under transmission power controlling, effectively.
著者
高畠 翔生子 重安 哲也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.306-314, 2020-02-15

災害発生に起因する通信障害の影響を回避するためにDTNを利用した災害情報収集システムについての研究が多く進められている.DTNでは蓄積運搬型転送により,一部に通信不能区間を含むネットワークにおいても通信を可能とする.しかし,本来,DTNは通信遅延がある程度許容される種別の情報伝達に適用される技術であり,迅速な情報収集が要求される災害時で用いるには通信遅延の大きさが問題となる.そこで,本論文は,ネットワークキャッシュにより通信遅延を削減できるICN技術を導入することで,CCN over DTNを基盤とした新しい被災情報配信システムを提案する.また,提案システムにおける,コンテンツルータの導入によって起きるトラフィック増加の問題を抑制する手法について検討する.具体的には,中継端末が蓄積・運搬するコンテンツの重複を検出し,それらを適応的に廃棄することで,ネットワークトラフィックの不必要な増加を抑制する.また,提案手法の有効性を評価した結果から,本提案手法を適用することによりメッセージの到達率を低下させずにRTTを大幅に減少できることを明らかにする.
著者
重安 哲也 松野 浩嗣 森永 規彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.793-800, 2004-08-15

IEEE802.11bを始めとする無線LAN(Local Area Network)技術は,高度情報通信社会環境を構築する上でも欠かすことのできない社会基盤技術の1つとして位置づけられているそこで,本稿ではすでに普及段階にあるものから,標準化作業中のものを含めた無線LAN各規格を概観するとともに,各規格中で規定されているプロトコルに関する簡単な解説を行う.なお,無線LAN技術標準の中にはIEEE802.11のようにIEEE802委員会が標準化を行っているものや,欧州のETSI-BRAINが策定するHIPERLAN/2や,ARIB STD-T70として標準化されたHiSWANa (High Speed Wireless Access Network a)などさまざまなものがあるが,今回はIEEE各規格に限定して概観する. "
著者
大瀧龍 重安 哲也 浦上 美佐子 松野 浩嗣
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.308-318, 2011-01-15

本論文では,自然災害発生時に効果的に災害救援活動を支援することを目的とした被災情報提供システムについて検討する.具体的には,災害発生直後にもシステムの運用を可能とするために,少ない通信機材でネットワークを構成すること,ならびに,避難所の存在位置の偏りに影響を受けずにバックボーン回線を実現するための指向性アンテナを有する幹線基地局を適切に配置するアルゴリズムについて提案する.また,提案したアルゴリズムの有効性を評価するために,柳井市をモデルとしたネットワーク適用例を示した結果について報告する.This paper discusses the development of a disaster information system that effectively supports disaster relief activities. The proposed algorithm designs the backbone shelter links of wireless nodes so that shelter locations are not biased, enabling the operation of the disaster information system with a small number of operators. In order to clarify the effectiveness of the proposed algorithm, this paper reports results of sample network modeled on Yanai city, constructed by the proposed algorithm.
著者
大瀧 龍 重安 哲也 浦上 美佐子 松野 浩嗣
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.1-6, 2009-11-19

これまで,災害発生時の既設インフラ回復するまでの一時的な通信網として避難所間無線ネットワーク選択構築することで,安否情報や被災状況を自律的に収集・共有する被災情報提供システムの提案を行ってきた.同ネットワークで用いる避難所は耐震強度や収容可能人数で選択をすることを検討してきたが,ネットワークを構築する範囲や個々の地域特性の違いへの対応はこれまでに十分に検討されていなかった.本稿では,避難所間無線ネットワークを構築する範囲の決定方法と地域特性に柔軟に対応できるアルゴリズムの検討を行った結果について報告する.We have studied about the construction of wireless network system for exchanging safy information of evacuees and damage information of social infrastructures at disaster distressed area. In the system, shock-proof shelters having large cpasity for evacuees will be selected as wireless station. However, the system does not pay any consideration for geographical condition. Then this paper proposes a new network construction method which copes with a difference of geographical condition.