著者
高原 尚志 高辻 春菜 井上 春菜
出版者
新潟人間生活学会
雑誌
人間生活学研究 (ISSN:18848591)
巻号頁・発行日
no.9, pp.81-87, 2018

近年、海外からの旅行者の需要、いわゆるインバウンドを取り込むための試みが盛んに行われるようになってきた。最近では、東京から大阪に掛けてのいわゆるゴールデンルートだけではなく、地方へと海外からの旅行者の目も向き始めている。各地の観光協会や旅行者はこのインバンドを取り組むため、様々な取り組みを行っている。この際、日本人に定番の観光資源だけではなく、日本人には分からないが海外からの旅行者には大変魅力的な観光資源を見出すことが重要である。渋谷のスクランブル交差点などはこれに関しての有名な例のひとつであるが、地方を訪れる海外からの旅行者が魅力を感じるものとして、日本の伝統的な街並みなども上げることができる。著者らは、金沢を例として、日本人と海外からの旅行者の興味(評価)の違いに注目して、海外からの旅行者の視点から金沢の観光資源を見出す取り組みを行ってきた。そこで本稿では、今までの取り組みを整理した後、考察として概観し、今後の方向性について検討する。この取り組みは、金沢だけではなく、新潟県が佐渡金銀山の世界遺産登録を目指す上でも参考になるものと考える。