著者
舩渡 忠男 高野 拓哉
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.193-206, 2020-03-19

学校保健の現状を明らかにした上で,今回大学生を対象とした学校保健の抱える取り込むべき今日的課題について抽出した。大学生は身体とこころの大事な成長期にあるといえる。ここでは最初に日本における学校保健の歴史と変遷に遡り,学校保健の意義とそのあり方について考察した。そして,健康診断のあり方,健康管理上の問題,感染予防の対策,学生への禁煙指導,保健室・学校医の役割,ならびに学校保健安全について焦点を充てる。これらの中で,日常業務において,就学時および定期健康診断の果たす役割が大きいと考える。とくに,健康診断後の結果についてはその事後措置が重要であると考える。したがって,多面的な課題を抱えていることが大学における学校保健の特徴といえるが,学校医,保健室,教職員ならびに大学各部門と連携を密にし,学校保健体制を構築して課題を解決することが必要である。大学生活における健康上の問題では,健康状態および精神状態を把握していくことが喫緊の課題であることが示唆された。