著者
高間 浩樹 越前 功 吉浦 裕
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.27, pp.1-6, 2009-05-21

取調べの可視化によって自白の任意性が客観的かつ容易に確認可能になるとの期待がある,一方,取調べの妨げや裁判の非効率化につながるとの指摘もある.①取調べの可視化に対する期待を実現するために技術によってどのような支援ができるか,②取調べの可視化について指摘される問題点を技術によってどのように軽減することができるか,という観点から取調べの可視化について分析し,(1)ヒューマンエラーの防止,(2)開示の完全性,(3)プライバシーの保護,(4)可視化記録の閲覧の効率化,という4つの技術課題を明らかにした.このうち(1)~(3)を解決する方法として,個々の被疑者を区別せず全ての取調べを自動的に記録し,一元管理する方法,顔・声紋識別を用いて一元管理された記録中から当該被疑者の記録のみを漏れなく検索する方法を提案し,これらを統合した取調べ可視化システムを提案する.In this paper, we analyze problems in visual interrogation recording and clarify four technical requirements for IT technologies to solve these problems; (1) preventing human errors, (2) guaranteeing completeness of record disclosure, (3) protecting privacy of irrelevant people, and (4) enabling effective survey of long record. To meet these requirements, we propose a method that automatically records interrogation without discriminating each suspects, a method that uses face and voice recognition techniques to retrieve all records of the target suspect without retrieving those of other suspects, and the system that integrates these methods.