著者
高鳥 美奈子 信太 隆夫 秋山 一男 高鳥 浩介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-8, 1994
被引用文献数
11

相模原地区における屋外空中飛散真菌を1970年および1980年と同一の地点で同じ落下培養法により1983年から1992年まで毎週調査した. 全10年間の平均検出率順から, 酵母類とMycelia steriliaを除きCladosporium, Alternaria, Epicoccum, Aureobasidium, Curvularia, Ulocoladium, Penicillium, Arthrinium, Nigrospora, Fusarium, Trichoderma, Pestalotiaが主要優先菌とみられ, 1980年の相模原および全国の調査成績とほぼ同様である. CladosporiumとAlternariaは毎年最優先2属で, 次いでEpicoccumが3位となることが多かった. しかし, 1970年に4位以内にあったAspergillusとPenicilliumは後退し, 特にAspergillusは既に低頻度菌でさえある. 季節性分布では, 総じて6月の梅雨期と9〜10月の秋期をピークとする2峰性を示した. この2峰はCladosporiumとAlternariaから主に成り, 後者は梅雨期がより優位である. 明らかな単峰性分布が確認されたものに梅雨期のEpicoccum, 秋期のUlocladium, 夏期のCurvulariaとNigrosporaがある. その他の主要菌に明瞭な季節性はみられなかった.