20 0 0 0 OA 環境真菌と生態

著者
高鳥 浩介
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.J97-J105, 2014 (Released:2014-09-18)
参考文献数
21
被引用文献数
1 4

環境真菌は室内や室外問わず普遍的に生息している.環境真菌の生態は環境に限らず,健康への影響も強くかかわってくることから無視することができない.とりわけ,生活周辺での環境真菌は近年健康被害を及ぼすことが報告されるようになり,その生態を理解することが重要となってきた.本稿では,環境真菌の生活周辺での生態をまとめ,主要な環境真菌について述べた.また環境真菌と健康にかかわる現象についてまとめた.
著者
高鳥 浩介 高橋 恵子 鈴木 敏正 宇田川 俊一 倉田 浩
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.307-312_1, 1975-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15

市販カビ醗酵型, 自然醗酵型サラミソーセージ31試料について菌類分布を調査し, 主要菌としてカビ醗酵型より P. cyclopium, P. viridicatum など Penicillum を,自然醗酵型より Cephalosporium sp., Mucor mucedo, M. racemosus, Aspergillus versicolor, P. cyclopium などを分離した. カビ醗酵型の Penicillum は主として加工上のスターターと考えられるが, 分離株の penicillic acid 産生能は認められず, カビ醗酵型ソーセージなどは食品衛生上一応支障ないものと考えられる.
著者
高鳥 美奈子 信太 隆夫 秋山 一男 高鳥 浩介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-8, 1994
被引用文献数
11

相模原地区における屋外空中飛散真菌を1970年および1980年と同一の地点で同じ落下培養法により1983年から1992年まで毎週調査した. 全10年間の平均検出率順から, 酵母類とMycelia steriliaを除きCladosporium, Alternaria, Epicoccum, Aureobasidium, Curvularia, Ulocoladium, Penicillium, Arthrinium, Nigrospora, Fusarium, Trichoderma, Pestalotiaが主要優先菌とみられ, 1980年の相模原および全国の調査成績とほぼ同様である. CladosporiumとAlternariaは毎年最優先2属で, 次いでEpicoccumが3位となることが多かった. しかし, 1970年に4位以内にあったAspergillusとPenicilliumは後退し, 特にAspergillusは既に低頻度菌でさえある. 季節性分布では, 総じて6月の梅雨期と9〜10月の秋期をピークとする2峰性を示した. この2峰はCladosporiumとAlternariaから主に成り, 後者は梅雨期がより優位である. 明らかな単峰性分布が確認されたものに梅雨期のEpicoccum, 秋期のUlocladium, 夏期のCurvulariaとNigrosporaがある. その他の主要菌に明瞭な季節性はみられなかった.
著者
高鳥 浩介 近藤 末男
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:13443941)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.453-459, 1979
被引用文献数
1

豚の常用飼料についてカビ汚染,分布の実態を調査した.供試飼料として,トウモロコシ,麦類,フスマ,ダイズ粕,魚粉,ルーサンペレット,配合飼料の7種,30点を集め菌学的検索をおこなった.豚飼料の構成は濃厚飼料が主体であり,カビ汚染度をみたところ,103~104/gの範囲にあって,飼料全体の汚染度および分布は比較的似た傾向にあった.またカビの分布をみると,Aspergillus, Penicillumの優先する飼料が多く,なかでもA. flavus, A, versicolor., A. glaucusが各飼料で広範に分布していた.PenicilliumではP. citrinum, P. oxalicum, P. rugulosumが高汚染菌であった.その他のカビでは,ケカビ類のMucorが比較的全般に検出され,他にはCandida, Cladosporium, Fasarium, Scopulariopsis, Wallemiaなどがみられた.カビ毒のうち, A. flavusの産生するアフラトキシン(B1, B2, G1, G2)およびA.versicolorの産生するステリグマトシスチンの産生能を,牛および豚飼料から分離したA.flavus 31株, A, versicolor 19株で行なったところ,アフラトキシン産生8株,ステリグマシスチン産生11株を得た.これらの株のうち,アフラトキシンB1 168.30ppm(トウモロコシ由来株),54.17ppm(ダイズ粕由来株)の高い産生量の2株を認めた.ステリグマトシスチン産生11株は,いずれも1ppm以下であった.しかし, A. versicolorの中でステリグマトシスチン産生株が6割近くに達することを考慮すると,家畜飼料中でのこの種のカビ汚染防除に注意する必要がある.また豚飼料でPenicillium, Fusariumの高い汚染,分布がみられたので,この種のカビ毒産生性を検討する必要がある.
著者
高鳥 浩介
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.231-236, 2004-12-31 (Released:2010-07-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2
著者
高鳥 浩介 一条 茂 小西 辰雄 田中 一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.307-313, 1981-06-25
被引用文献数
1

本邦における馬の皮膚真菌症の最近の発生状況については十分検討されていない. そこでわれわれは, 1978年に本邦でも馬の生産地として知られる北海道内での発生状況について, 臨床的ならびに真菌学的検索を行なった. 対象地域は北海道内上川, 日高, 十勝および北見の4支庁管内で, 軽種馬育成牧場と競走用輓馬を繋留している競馬場であった. 7軽種馬育成牧場での発病率は, 21.9〜100%であり, 対象牧場すべてに馬の皮膚真菌症発生を認めた. また, 3競馬場での発病率をみたところ, 8.6〜18.8%であり, いずれの競馬場でも本症の発生を認めた. 発病の時期をみると, 軽種馬では7〜9月の放牧期に多く, 輓馬では7〜10月の競馬開催時に多く, いずれも感染馬や原因菌で汚染された馬具との接触が発病に関係深いものと考えられた. 皮膚病巣の発生部位は, 育成馬では全身各所にわたることが多く, 輓馬ではゼッケンの装着部位である胸部から病巣が始まる例が多かった. すべての発病馬の病巣から共通してTrichophyton equinumが分離され, 本菌が発病の主な原因と考えられた. また一部の発病馬からは, Microsporum canisが分離された. M. canisの本症発生における原因菌としての役割については, 今後の検討すべき問題と思われた. 以上の成績から, 北海道おける馬の皮膚真菌症は定着した疾患となっており, また本病が全国的に認められるものと考えられた. したがって, 今後本病に対する適切な予防と治療対策が重要な衛生上の課題であると思われた.
著者
熊谷 進 小西 良子 作田 庄平 高鳥 浩介 PRAPEUK Tangmunkhong AMNART Poapolathep
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

カビ毒高濃度汚染地域であるタイにおいて、カビ毒を代謝し解毒する微生物や動物組織を探索するために、タイのカセサート大学と共同で収集したカッサバ栽培農地を中心とした土壌から分離した細菌と真菌のカビ毒代謝活性を調べた。カビ毒としてアフラトキシン(AF)、オクラトキシンA(OA)、ゼアラレノン(ZEA)を各試料に添加し培養した後に培養物を分析に供した。その結果、一部の菌によってAFB1とOAが代謝変換されることが認められた。また、タイ中央部において飼育されているウマ・ヒツジ・ブタの糞便および糞便に由来する嫌気性菌による上記カビ毒の代謝も合わせ調べたが、明瞭な代謝変換は認められなかった。動物組織に関しては、ブタやニワトリ等の家畜ならびにマウス等の実験動物の肝臓組織によるAFB2の代謝およびヤギ組織におけるゼアラレノンの代謝を検討したところ、各種動物の肝臓分画によるAFB2からAFB1への代謝の可能性が示唆され、ヤギの諸臓器におけるゼアラレノンからゼアラレノールへの代謝が認められた。