著者
髙堂 裕平
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.81-86, 2021-06-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
10

近年,神経科学領域における神経回路の評価において,非侵襲にマウスからヒトまで共通して用いることのできる磁気共鳴画像装置(MRI)の利用が広まってきている.技術の進歩により装置が高磁場化し,より一層その有用性が増している.磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)は,高磁場化の恩恵を受けた撮像法の一つであり,脳の局所における脳内代謝物の測定を可能にする手法である.本手法を用いることで,脳の一定領域における神経伝達物質,エネルギー代謝に関わる代謝物,浸透圧調整物質等,種々の脳内代謝物の測定が可能となる.本稿では,神経回路の評価に有用な分析手法であるMRSの概要について紹介し,MRSで測定される脳内代謝物から伺える神経-グリアカップリングの脳機能における重要性についても述べてみたい.