著者
後藤 友明 髙梨 愛梨
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.100-109, 2020-05-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
27

2008年から2018年に岩手県南部沖で行った底延縄調査で採集された1,485個体(標準体長78–359 mm)に基づいて,タヌキメバルの年齢,体長–体重関係,年齢–体長関係を推定した.体長–体重関係は,雌雄で異なるアロメトリー式で表された.耳石薄片の観察から耳石縁辺の輪紋形成周期を推定したところ,不透明帯は5–10月にかけて年1回形成されることが示された.得られたタヌキメバルの年齢は1–9歳の範囲で,年齢–体長関係に有意な雌雄差はみられず,雌雄込みのvon Bertalanffyの成長式で表された.GSIの季節変動から,雌の成熟個体は3–5月に出現し,4歳以上で認められた.求められた年齢と成長・成熟の関係は,岩手県から八戸沖からタヌキメバルと区別されずに求められてきたキツネメバル種群の既往値と同様であった.年級群別のCPUE(個体数/100針)を算出し,年級間で比較した結果,本海域における調査期間内のタヌキメバル資源では, 2005, 2007, 2008, 2015年級群の豊度が相対的に高いことがわかった.