著者
松本 智里 加藤 真由美 兼氏 歩 福井 清数 髙橋 詠二 平松 知子 谷口 好美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.309-317, 2018 (Released:2019-03-09)
参考文献数
37

目的:女性変形性股関節症患者の術前後の歩容の自己評価と心理社会的側面を,人工股関節全置換術(THA)患者と低侵襲寛骨臼骨切り術(SPO)患者の2つの視点から比較し検討した.方法:術後6~12ヶ月の女性THA患者とSPO患者に無記名自記式質問紙調査を行い,術前と術後の歩容の自己評価と心理社会的側面を比較した.結果:THA患者70名,SPO患者10名から回答を得た.THA患者とSPO患者の歩容の自己評価はともに術前より術後に改善した.術前の歩容の自己評価と関連したのは,THA患者は跛行への思いと杖歩行への思い,抑うつであった.術後の歩容の自己評価と関連したのは,THA患者は自尊感情と抑うつ,公的自己意識,全体的健康感で,SPO患者は全体的健康感のみであった.結論:女性変形性股関節症患者の歩容の自己評価をアセスメントすることは心理社会的側面の支援の一助となると示唆された.術式によって関係する心理社会的側面の項目には違いがあり,各々の時期や特徴に合わせたケアの必要性が考えられた.