著者
髙橋 辰政
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.412-419, 1990
被引用文献数
7

重合した可視光線重合型レジン中の残存二重結合量(RDB)の経時的変化を検討した.RDBは, 試作のアンフィルドレジン5種, 市販のコンポジットレジン8種および歯冠用硬質レジン3種について, フーリエ変換赤外分光光度計を用い, 液膜法に準じて測定した.吸光度の測定は, 光照射前および光照射後の所定の時期に行い, RDBは, 光照射前の二重結合量に対する百分率で表示した.5種のアンフィルドレジンのRDBは, いずれも光照射開始5分以降対数時間と直線関係で減少した.また, モノマーの種類によって5分でのRDBおよびこの時間以降でのRDBの減少速度に差が認められた.5種のアンフィルドレジンのなかで, 光照射開始5分後のRDBの最も少ない値を示したのは, モノマーとしてBMPEPP(BPE-200)を用いた場合で, 逆に最も多い値を示したのは, モノマーとして4PN-(TF)_2-(EMA)_6を用いた場合であった.Tri-EDMAを用いたアンフィルドレジンの場合, 光照射時間の延長にともない, RDBは減少したが, 1カ月後ではいずれの照射時間のものもほぼ同じ値を示した.市販可視光線重合型コンポジットレジンおよび歯冠用硬質レジンのRDBは, いずれも光照射開始5分以降対数時間と直線関係で減少した.また, いずれのレジンの場合もRDBは, ベースモノマーがBis-GMA系の場合に少なく, UDMA系で多かった.