著者
髙田 真二
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.203-211, 2018-03-15 (Released:2018-04-07)

安全な抜管ができるためには,気道管理に関する専門的な知識や技術に加え,状況認識や意思決定などのノンテクニカルスキル(認知スキル)が不可欠である.抜管の失敗の多くは認知バイアスに由来する判断の誤り(認知のエラー)である.認知スキルを高めるには自分の行動や思考の自発的,客観的な振り返りが欠かせない.他者からのフィードバックを受けながら自分の経験を振り返り,教訓を概念化して次の経験へ活かすという経験学修サイクルを繰り返すことで,医療者は患者安全の実践能力やプロフェッショナリズムを修得していく.本稿では認知バイアスのため抜管の判断を誤った自験例を提示し,具体的な振り返りの方法を紹介した.