著者
佐藤 三佳子 岩井 浩二 鬼塚 英一郎 高畑 能久 森松 文毅 佐藤 雄二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.159-163, 2011-04-15 (Released:2011-05-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

ブタ大動脈を原料としてエラスチン加水分解ペプチド(エラスチンペプチド)を調製し,その摂取がヒトの皮膚弾力性にもたらす影響について検討した.はじめに,エラスチンペプチド経口摂取後のヒト血液中のアミノ酸濃度の変化を観察した.成人男性5名を被験者として,12時間絶食後にエラスチンペプチドを摂取させた.その結果,エラスチンペプチド経口摂取後に血中の総アミノ酸量が増加し,増加したアミノ酸の組成は,摂取したエラスチンペプチドのアミノ酸組成に類似していた.また,ハイドロキシプロリンおよびアルギニンがそれぞれペプチド態として血中に検出され,エラスチンペプチドの少なくとも一部はペプチド態として血中に移行していると考えられた.次に,39名の中高齢者を3群にわけ1日量0, 100, 200mgのエラスチンペプチドを8週間継続摂取させ皮膚弾力性を測定した.100mg, 200mg摂取群において摂取開始8週目に摂取前と比較して有意に皮膚弾力性が上昇した.またその変化率は0mgと比較して200mg群で有意に高値を示した.以上より,エラスチンペプチドの経口摂取はヒトの皮膚弾力性を向上させることが示唆された.