著者
佐藤 三佳子 前村 公彦 髙畑 能久 森松 文毅 佐藤 雄二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.182-185, 2012-04-15 (Released:2012-05-31)
参考文献数
26
被引用文献数
4 3

カルノシン,アンセリンを高濃度に含有する鶏肉抽出物の摂取が,中高齢者の筋力にもたらす影響を検討した.中高齢者20名を2群に分け,鶏肉抽出物をそれぞれ一日量に1 500 mg(カルノシン,アンセリンの合計量として225 mg)もしくは0 mgを4週間継続摂取させた.摂取期間の前後に,等速性膝最大伸展力,膝最大屈曲力,および開眼片足立ちの保持時間を測定した.その結果,鶏肉抽出物群において,有意な膝最大伸展力の向上,開眼片足立ち保持時間の延長が認められた.これらの結果より,カルノシン,アンセリンを含有する鶏肉抽出物の摂取は,中高齢者の筋力の向上に有効であると考えられた.
著者
中道 浩司 足利 奈奈 来嶋 正朋 佐藤 三佳子 吉村 康弘
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.49-55, 2013

本研究は,北海道の春まきコムギ優良新品種「はるきらり」を上川農業試験場 (北海道上川郡比布町) にて3年間栽培・試験し,収穫物である子実の製粉特性ならびに小麦粉の製パン性といった品質特性について,基幹品種「春よ恋」と比較することで評価したものである.品質特性は,子実については子実タンパク質含有率,子実灰分含有率,製粉工程でのミドリング粉量に対するブレーキ粉量 (BM率) で,小麦粉については小麦粉タンパク質含有率,小麦粉灰分含有率,生地吸水率,グルテンインデックス,パン体積で評価した.小麦粉タンパク質含有率ならびに小麦粉灰分含有率は,それぞれ同じ子実タンパク質含有率,同じ子実灰分含有率であれば,「春よ恋」が「はるきらり」よりも高かった.BM率は,両品種とも子実タンパク質含有率と正の相関を示し,同じ子実タンパク質含有率であれば,「はるきらり」が「春よ恋」よりも高かった.さらに,小麦粉タンパク質含有率は,吸水率,パン体積,可溶性ポリマー含有率 (EPP),可溶性モノマー含有率 (EMP) および不溶性モノマー含有率 (UMP) と正の相関を示し,グルテンインデックスと負の相関を示した.一方で,「はるきらり」は,「春よ恋」よりも吸水率が低く,グルテンインデックスが低く,パン体積が大きく,EPP と EMP が高く,不溶性ポリマー含有率 (UPP) が低かった.
著者
仲田 里瀬 佐藤 三佳子 友永 省三
出版者
日本微量栄養素学会
雑誌
微量栄養素研究 (ISSN:13462334)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.66-72, 2019-12-13 (Released:2021-12-13)
参考文献数
26

Carnosine is a dipeptide composed of β-alanine and l-histidine. Carnosine is an antioxidant and has buffering capacity. In addition, the dipeptide could improve glucose metabolism in animal models. However, the effect of dietary carnosine on various metabolisms has not been clarified in detail. In this study, to explore the effect of carnosine on various metabolisms, we investigated liver and cecal contents in mice given graded amount of carnosine by non-targeted metabolomic analysis. Carnosine didn’t affect body weight while the perirenal fat weight was decreased dose-dependently. In liver and cecal contents, some metabolite levels were significantly influenced. Among them, carnosine levels were increased dose-dependently. These results suggest that dietary carnosine can affect not only carnosine metabolism but also other metabolisms including lipid metabolism. We need further study on the relationships among some metabolites including carnosine and the reduction of fat.
著者
佐藤 三佳子 岩井 浩二 鬼塚 英一郎 高畑 能久 森松 文毅 佐藤 雄二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.159-163, 2011-04-15 (Released:2011-05-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

ブタ大動脈を原料としてエラスチン加水分解ペプチド(エラスチンペプチド)を調製し,その摂取がヒトの皮膚弾力性にもたらす影響について検討した.はじめに,エラスチンペプチド経口摂取後のヒト血液中のアミノ酸濃度の変化を観察した.成人男性5名を被験者として,12時間絶食後にエラスチンペプチドを摂取させた.その結果,エラスチンペプチド経口摂取後に血中の総アミノ酸量が増加し,増加したアミノ酸の組成は,摂取したエラスチンペプチドのアミノ酸組成に類似していた.また,ハイドロキシプロリンおよびアルギニンがそれぞれペプチド態として血中に検出され,エラスチンペプチドの少なくとも一部はペプチド態として血中に移行していると考えられた.次に,39名の中高齢者を3群にわけ1日量0, 100, 200mgのエラスチンペプチドを8週間継続摂取させ皮膚弾力性を測定した.100mg, 200mg摂取群において摂取開始8週目に摂取前と比較して有意に皮膚弾力性が上昇した.またその変化率は0mgと比較して200mg群で有意に高値を示した.以上より,エラスチンペプチドの経口摂取はヒトの皮膚弾力性を向上させることが示唆された.
著者
鈴木 康弘 佐藤 三佳子 森松 文毅 高松 薫
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.159-169, 2004-03-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
3 9

The histidine-containing dipeptide carnosine (p-alanyl-L-histidine) exists widely in the skeletal muscle of vertebrates. The biological role of carnosine has not been well established, but it is believed to act as a cytosolic buffering agent. We prepared an extract of chicken breast meat that is an abundant source of carnosine and its related dipeptide anserine (β-alanyl-1-methyl-L-histidine). The purpose of this study was to examine the effects of extract (CBEX^<TM>) supplementation on high-intensity intermittent exercise performance. Eight male subjects performed two experimental trials (CBEX and placebo treatment). Each trial consisted of two intermittent cycle ergometer sprints separated by a 20-min recovery period. Intermittent exercise consisted often 5-s maximal sprints with 25-s of recovery between each sprint. The subjects were given 190 g of experimental soup containing either 40 g of CBEX or no CBEX 30 min before each trial. Anserine and its related amino acid in plasma were detectable 30 min after CBEX supplementation. However, plasma carnosine was not detectable. In the CBEX group, the subjects exhibited high power during the latter half of intermittent exercise compared with the placebo group. These results suggest that pre-exercise CBEX supplementation improves intermittent exercise performance, possibility by restraining the decrease of intracellular pH and thereby delaying the onset of fatigue.
著者
原田 理恵 田口 靖希 浦島 浩司 佐藤 三佳子 大森 丘 森松 文毅
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.73-78, 2002-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
22
被引用文献数
12 16

トリ胸肉より, ヒスチジン含有ジペプチドであるアンセリン・カルノシンを豊富に含むチキンエキスを調製し, マウスに投与した場合の体内動態および運動能力への影響について検討した。チキンエキスをマウスに経口投与すると, アンセリン・カルノシンは分解されずにジペプチドのまま吸収されて血流に乗り, その血中濃度は投与約30分後に最大に達した。また, チキンエキスを10% (固形分換算) 配合した飼料を継続投与することにより, 大腿四頭筋内にアンセリン・カルノシンの有意な濃度増加がみられた。このチキンエキスを投与したマウスは, 投与開始6日目以降, 速い水流 (10L/min) のあるプールにおける疲労困憊までの遊泳持久時間が対照群に比べて有意に向上していた。この持久運動能力向上効果の一因として, チキンエキスの経口摂取により, 生体緩衝能力をもつアンセリン・カルノシンが血流を介して骨格筋内に蓄積されることによって, 骨格筋内の緩衝能が高まったことが推察された。
著者
原田 理恵 田口 靖希 浦島 浩司 佐藤 三佳子 大森 丘 森松 文毅
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.73-78, 2002-04-10
被引用文献数
7 16

トリ胸肉より, ヒスチジン含有ジペプチドであるアンセリン・カルノシンを豊富に含むチキンエキスを調製し, マウスに投与した場合の体内動態および運動能力への影響について検討した。チキンエキスをマウスに経口投与すると, アンセリン・カルノシンは分解されずにジペプチドのまま吸収されて血流に乗り, その血中濃度は投与約30分後に最大に達した。また, チキンエキスを10% (固形分換算) 配合した飼料を継続投与することにより, 大腿四頭筋内にアンセリン・カルノシンの有意な濃度増加がみられた。このチキンエキスを投与したマウスは, 投与開始6日目以降, 速い水流 (10L/min) のあるプールにおける疲労困憊までの遊泳持久時間が対照群に比べて有意に向上していた。この持久運動能力向上効果の一因として, チキンエキスの経口摂取により, 生体緩衝能力をもつアンセリン・カルノシンが血流を介して骨格筋内に蓄積されることによって, 骨格筋内の緩衝能が高まったことが推察された。