著者
田村 悠 魚住 大介
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.145-148, 2018-03-20 (Released:2018-04-20)
参考文献数
14

症例はシーズー,去勢雄,12歳齢で,急性の嘔吐と腹囲膨満を主訴に来院した.腹部X線検査にて胃拡張が疑われたため,経皮的減圧を行った.胃からは約1l のガスと液体が抜去された.その後,状態は安定したため経過観察とした.6日後の再診時には一般状態に問題はなく,食欲及び排便も正常であった.しかし,その1カ月後に再度腹囲膨満を呈し,腹部X線検査にて胃拡張捻転症候群が疑われた.一般状態は良好だったため,再度経皮的減圧を行い一晩様子を観察したが,改善が認められなかったため,開腹手術を行った.胃は捻転し,脾臓及び小腸の変位が認められた.腹腔内臓器を整復した後,ベルトループ胃腹壁固定術を実施した.胃拡張捻転症候群は小型犬では報告は少ないが,本症例においては雪の多食が発症に関与した可能性が考えられた.