著者
鯵坂 秀之 坂東 悦郎 安居 利晃 藤田 秀人 加治 正英 木村 寛伸 前田 基一 薮下 和久 小西 孝司
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.189-193, 2002-02-01
参考文献数
11
被引用文献数
3

1995年4月〜2000年9月の虫垂炎手術390例中, 虫垂切除術(以下虫切)の既往のある4例(1.0%)を経験した.内訳は(1)53歳男性(44歳時虫切), (2)42歳女性(8歳時虫切), (3)52歳女性(22歳時虫切), (4)58歳男性(40歳時虫切)である.全例右下腹部痛で発症し, 初診時保存的加療で経過観察されていた.手術適応決定には全例CTが用いられ, 術前診断は症例(2)の遺残虫垂炎以外回盲部膿瘍であった.発症から手術までは症例(1)から順に1か月, 3日, 10日, 17日で, 全例回盲部切除術が施行された.切除標本の病理検索にて虫垂切除術の遺残虫垂炎と診断された.虫垂切除術の既往のある急性腹症に遭遇した場合遺残虫垂炎も鑑別診断にあげるべきであるが, その確定診断は炎症が虫垂に限局している時点では困難である.初回虫垂切除術で遺残虫垂をなくし遺残虫垂炎を予防することが重要であると考える.
著者
鯵坂 秀之 小山 文誉 魚谷 知佳
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 = Journal of gastroenterological cancer screening (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.237-242, 2011-03-15
参考文献数
13

胃内視鏡検診の精度を評価するために, 2006年9月から2009年8月までの内視鏡検診発見胃癌42例のうち, 逐年内視鏡検診の既往を持つ"広義偽陰性例"20例を対象に, 臨床病理学的特長を検討するとともに, 前年度の記録を見直した。肉眼型は全例早期陥凹性病変(O-IIc 18例, O-IIb+IIc 1例, O-IIa +IIc 1例)であった。組織型は分化型が12例(tub1 9例, tub2 3例), 未分化型が8例(sig 5例, por 2例, muc 1例), 最大腫瘍径は16例が25mm以下であったのに対し, 4例は37mm・43mm・47mm・81mmと突出していた。壁深達度/リンパ節転移はM/N0が17例, SM1/N0・SM2/N0・M/N2が各1例ずつであった。前年度の記録を見直した結果, "非狭義偽陰性例"(前年度顕性病変なし)は5例, "見落し例"(前年度記録なし)は4例, "見逃し例"(前年度病変あり)が8例, "生検不備例"(前年度生検にて非悪性と判断された)が3例であった。内視鏡検診でも偽陰性があり, 逐年受診を勧めることが重要である。