著者
角崎 秀文 岡村 孝 鳥屋 城男 石原 通臣 水口 博之 袴田 安彦 仙石 耕一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.837-840, 1998-03-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

われわれは比較的まれな疾患である壊死性筋膜炎が肛門周囲膿瘍に続発した症例を経験したので報告する.症例は32歳の男性.平成8年1月10日より肛門周囲の痛みを自覚して近医を受診した.肛門周囲膿瘍の診断で切開排膿術を施行されたが増悪したので平成8年1月19日救急車で当院を受診し,同日入院となる.来院時ショックと乏尿を認め.肛門の右側に11×6cm大の皮膚の壊死,びらんを認めた.同日病変部の切開と壊死組幕の部分切除を施行し,その後ICUで治療したが,腎不全,呼吸不全から循環不全に陥り. 1月22日死亡した.局所の感染巣から連続して広範に皮膚,皮下の壊死を認めたが筋層に著変を認めず,高度の全身性中毒反応を示した.以上から壊死性筋膜炎と診断した.細菌培養では大腸菌とバクテロイデスが検出された.壊死性筋膜炎は死亡率の高い疾患であり,早期診断と広範囲のデブリードマンが重要と考えられる.