著者
鳥山 満由 毛利 光宏 天津 睦郎
出版者
JAPAN SOCIETY FOR HEAD AND NECK SURGERY
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.155-159, 2000-12-30 (Released:2010-07-27)
参考文献数
13

我が国においては,遭遇することがまれである銃創症例を経験したので報告した。症例は31歳の男性。顔面を拳銃で撃たれ,約25分後当院救急部へ搬入された。左耳下部皮膚に射入口を認め,顔面単純X線及び頸部CTで,左下顎骨骨折と,右顎下部皮下に銃弾が停留している所見が認められた。顔面から頸部にかけての盲管銃創と診断し,同日緊急手術を施行した。銃弾を摘出し,血腫の除去,挫滅汚染組織のdebridementを行った。この症例では,下顎骨を貫通した時点で銃弾のエネルギーの大半が消費されたために,頸部の血管系に大きな損傷を与えることなく対側の皮下へ到達したものと考えられた。