著者
鳥山 満由 毛利 光宏 天津 睦郎
出版者
JAPAN SOCIETY FOR HEAD AND NECK SURGERY
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.155-159, 2000-12-30 (Released:2010-07-27)
参考文献数
13

我が国においては,遭遇することがまれである銃創症例を経験したので報告した。症例は31歳の男性。顔面を拳銃で撃たれ,約25分後当院救急部へ搬入された。左耳下部皮膚に射入口を認め,顔面単純X線及び頸部CTで,左下顎骨骨折と,右顎下部皮下に銃弾が停留している所見が認められた。顔面から頸部にかけての盲管銃創と診断し,同日緊急手術を施行した。銃弾を摘出し,血腫の除去,挫滅汚染組織のdebridementを行った。この症例では,下顎骨を貫通した時点で銃弾のエネルギーの大半が消費されたために,頸部の血管系に大きな損傷を与えることなく対側の皮下へ到達したものと考えられた。
著者
毛利 光宏 木西 實 天津 睦郎
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.483-488, 2000-11-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
9
被引用文献数
4

1988年から1997年までの10年間に神戸大学医学部耳鼻咽喉科で治療した下咽頭扁平上皮癌新鮮例134例を検討し, 治療成績の現状と当科で行っている治療成績, QOL向上のための工夫について紹介した。134例中根治手術を行ったのは105例 (78%) であり, 残る29例では手術不能あるいは患者の拒否により放射線治療, 化学療法を行っていた。根治手術施行例の5年累積生存率は38.3%, 非施行例は19.3%で, 全体では34%であった。手術例の主な原病死因は遠隔転移, 局所・頸部再発であった。治療成績向上のために, 当科では1988年以来咽後リンパ節の郭清を77例に行い, 13例 (17%) に転移を認めた。N2cに高い転移率を認めたがN0でも10%に認め, 現在は全手術症例に行っている。QOL向上のためには, 喉摘後の音声再建として気管食道瘻あるいは気管食道瘻形成術を行い良好な結果を得ている。