著者
鳥山 英雄
出版者
東京女子大学
雑誌
Science reports of Tokyo Woman's Christian University (ISSN:03864006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.713-725, 1983-03-20

東京女子大学文理学部構内において,1977年9月26日から10月14日の20日間において,次の様な現象を認めることができた。すなわち,野外に植えてあるネムノキの生体電位は,その付近に自生したやぶからしの巻鬚がまきつくと特別な変化をあらわした。その変化は第1次から第5次までの5回にわたって断続してあらわれたが,その著しい電位変化をあらわす「まきつき」が行われた時は,何れも雨天であった。この間を通じて,巻鬚が巻きつくことの全くなかったネムノキにおいては,その生体電位はすべて正常であり,特別な電位変化はみとめられなかった。また,ネムノキからやぶからしの巻鬚をとりはずすと,特別な電位変化は完全にあらわれなくなる。ネムノキはやぶからしの巻鬚にまきつとかれる際には,著しいストレスを受けるもの判断される。