著者
鳥澤 勇介
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.268-277, 2019-09-25 (Released:2019-12-25)
参考文献数
56

マイクロデバイス技術を細胞培養・組織工学に応用することで、Organ-on-a-chipと呼ばれる生体模倣デバイスが開発されている。これは、生体内の環境を模倣し、組織の立体的な構造や化学的・力学的な微小環境を忠実に再現することで、臓器レベルの細胞機能保持を行う技術である。Organ-on-a-chipの開発において、血管ネットワークの構築が重要な技術となっている。血管ネットワークは、体内のすべての臓器に存在しており、臓器の機能や構造を模倣するうえで、また臓器間の相互作用を再現するうえで必要不可欠である。本稿では、マイクロ流体デバイスを用いた血管ネットワークの形成、および血管構造の導入により構築可能となった生体模倣デバイスに関して紹介する。