- 著者
-
鳴橋 龍太郎
須貝 俊彦
藤原 治
粟田 泰夫
- 出版者
- 日本第四紀学会
- 雑誌
- 第四紀研究 (ISSN:04182642)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.5, pp.317-330, 2004-10-01 (Released:2009-08-21)
- 参考文献数
- 27
- 被引用文献数
-
7
9
プレート内部の活断層における活動間隔の規則性を検討する目的で,桑名断層の完新世活動史を群列ボーリングコアの層相解析およびコア中の82個の14C年代測定結果を基に復元した.断層を挾んだコア間において,対比線(等時間線)を多数認定し,対比線に挾まれた同時代地層の層厚を比較することによって,約7千年前以降に少なくとも6回の断層変位イベントが解読された.さらに,高精度でイベントの回数と時期を検出するため,沈降(下盤)側と隆起(上盤)側それぞれの堆積速度の時間変化を詳しく比較・検討した.その結果,下盤側の堆積速度が上盤側のそれとほぼ等しい時期(A)と,前者が後者より有意に大きい時期(B)とが交互に現れることが判明した.(A)から(B)への変化は断層変位の発生時期を,(B)は断層崖が埋積されていく期間を示すと判断される.この解釈に基づくと,桑名断層には過去約7千年間に,有史以降の2回を含めて6ないし7回の活動を認定しうる.そして,桑名断層の活動間隔は平均約1,000年,平均変位速度は約1mm/yであるといえる.