著者
鴇田 彩夏
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.74-82, 2020-09-29 (Released:2020-09-29)
参考文献数
41
被引用文献数
1

Toffler(1980)によって提案されたプロシューマーの概念と活動は,情報技術や社会環境の変化によって拡大してきた。本稿の目的は,能動的な消費者として定義されているプロシューマーに関する研究をレビューすることによって,生産技術や社会的環境とともに変化するプロシューマーの定義と彼らの活動動機を明らかにすることである。プロシューマーの概念はさまざまな分野で応用され,類似した概念も複数存在する。これらの類似概念は活動の能動性の高さや他者へのモノ・サービスの提供という点で相違がある。これらの定義を活動の能動性と製品・サービスの消費主体という2つの軸で分類した上で,近年の社会環境に対応するためにプロシューマーの生産と利用にとどまらず,他者への提供も含めるべきであると指摘する。さらに,彼らの活動動機として,個人的動機と社会的動機に加えて,経済的動機についても考察する。最後に,これらを踏まえた上で今後の研究課題を提示する。