著者
鵜島 三壽 中村 真 Mitsuhisa Ushima Makoto Nakamura
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.131-151, 2015-09

シルクロードに関する無形文化遺産として、中央アジアから西アジアにかけての分布するムカーム(マカーム)をあげることができる。これは、多様な旋法による旋法音楽で、長大な組曲形式をとることが特徴である。ムカームに用いられる楽器は多種多様で、形態はもちろんのこと、多くの点で共通点がある。ムカームが広範囲に分布するだけに楽器にも共通点があるのだが、これまで詳しい楽器製作工程は報告されていない。 今後研究の深化をはかるには、技術的な視点を持ち、製作過程を通した楽器それ自体の検討が必要である。本稿では弦楽器の習得のみならず、弦楽器製作でも基本となるドゥタールを取り上げ、ウズベキスタン国立音楽院伝統楽器製作修復工房でのドゥタール製作を紹介する。ここで製作される楽器は、学生からプロの演奏家までが使用しているため、ウズベキスタンにおける楽器製作の全体像をつかむ上でも定点とすべき位置にある。