著者
鵜飼 祐生 藤吉 弘亘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J106-D, no.3, pp.195-206, 2023-03-01

人物再同定は,異なるカメラで撮影された同一人物の画像を検索するタスクである.人物再同定はその応用上の重要性から注目を集めており,ラベル付けされた大規模データセットを用いて深層学習モデルにより学習することで大きな進展を遂げてきた.また,あるラベル付けされたソースドメインで学習したモデルを他のドメインに適用した場合,推論精度が大きく低下する実用上の課題に対しても,数多くの教師なしドメイン適応手法が提案され,大きく改善されてきた.これらの手法の多くは,Global Average Poolingによる出力のみをもつモデルを用いており,画像特徴の平均的な特性のみを考慮している.そのため,例えばFine-Grainedな問題設定で重要とされる局所的な情報は十分考慮されていない,という課題がある.そこで本論文では,上記の課題を解決するため,Global Average Pooling(GAP)及びGlobal Max Pooling(GMP)により出力される,異なる特性をもつ二つの出力間の違いを考慮しながら,その両方を利用する新たな教師なしドメイン適応手法を提案する.公開された複数の人物再同定を対象とするデータセットにおける実験により,提案手法の人物再同定における教師なしドメイン適応における有効性を確認した.