著者
鶴岡 英一
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.167-176, 1975-12-10

明治期における広島県の学校運動会の変遷を検討して, 欧米には例をみない学校行事といわれている運動会の特質を明らかにしようとした. 考察結果は次のように要約される. 1. 学校運動会は体育奨励のために始められ, 初期の数年間はこの性格が比較的純粋に維持された. 2. 1890年頃から学校運動会はその民衆動員的性格のため様々に利用され, 学校行事から地域社会の行事へと変質を余儀なくされた. 3. 1900年以降, 運動会の教育性の回復を求めて批判が高まるが, 教育の枠組を越えてしまった運動会は, 教育関係者の努力にもかかわらず, 実質的には変化しなかった.