著者
橋谷 義人 大東 秀子 鹿内 健彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.131-135, 1967-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

食品の加熱手段として電子レンジ (900W) とブンゼンバーナーを用い、B1の分解から両者を比較検討した。すなわち被加熱試料として3%煎茶抽出液、2.5%肉汁、蒸ダイズ磨砕物およびブタ肉ミンチを選び、加熱によるB1の分解率を測定したが、両加熱方法の間に大差を生じなかった。しかし同一調理温度を得るためには高周波処理による方が時間的にはるかに優れていることを明らかにした。また生シイタケは高周波処理によって短時間で栄養学的にも合理的に加熱調理されることを知った。他方、B1塩酸塩の結晶およびその溶液につき高周波 (2450Mc/sec) 誘電加熱による分解を実験検討したが、結晶状では安定で分解を起こさず、pH値の高い緩衝液に溶解する程著しく分解した。しかしB1の分解時の挙動は、従来報告されている普通の加熱法による場合と同一経路を経るものと考えられ、溶液が沸点に達する迄に起こるB1の分解は電子レンジを用いた方が軽減されることを知った。