著者
鹿又 伸夫 小林 淳一
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.115-130, 1986-11-20 (Released:2009-03-01)
参考文献数
14

P. V. Marsdenは差別的交際を分析する手法を提示した。この手法はログリニア・モデルを応用して、社会的交際パターンについてのいくつかの仮説を検証しようとするものである。かれの分析手法に含まれる「集団内交際の優越」仮説は、各人の所属する集団内での交際のほうが集団外との交際よりも優越するというものである。また「社会的距離」仮説は、集団間の社会的交際がその集団間の社会的距離の大きさと逆比例関係にあるというものである。こうした仮説を経験的に検証するために、かれはログリニア・モデルを再定式化し、交際が「社会的距離」と関連していることを仮定したモデルでは新たなパラメータを導入した。しかし、このパラメータのデリベーションには問題がある。本稿では、こうしたMarsdenの分析手法を検討し、その問題点を示す。