著者
鹿島 和枝
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要. 服装学・造形学研究 = Journal of Bunka Gakuen University (ISSN:21873372)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.13-25, 2013-01
被引用文献数
1

衣服の作品製作において、デザインに合ったシルエットを表現するためには、素材に適した縫製が求められる。その縫製方法を選択する指針を得るため、パニエを使用するAラインのウェディング・ドレスの裾上げ方法について検討した。3 種類の布地ごとに縫製方法の異なる6 種の試料を製作し、官能検査による裾の仕上りを評価した。(1)シノンウールは、裾部分の剛軟度が高い方法は評価が高く、ホースヘアブレードをヘムに入れる方法やダブルオーガンジーのバイアスの別見返しで始末する方法、共布の別見返しで始末する方法は評価が高い。(2)サテンクレープはドレープ性があり、ヘムに張りがないと垂れてまつりのひびきが大きくなることから、ホースヘアブレードをヘムに入れる方法やハイモで裏打ちする方法は評価が高い。(3)シルクタフタはドレープ性がなく、布地が平坦でヘムやまつり目が表面にひびくため、オーガンジーで裏打ちする方法が最も評価が高い。以上の官能検査による評価と裾部分の物性との相関性を分析した結果、厚さと剛軟度の計測から縫製方法を選択すると良いことがわかり、学生へ縫製指導上の指針が得られたので報告する。