著者
鈴木 弘之 田村 明弘 鹿島 教昭
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.374-384, 1989-05-01
被引用文献数
18

歩行者空間のスライド映像の視覚情報と道路交通騒音のスピーカ再生音の聴覚情報を同時あるいは別々に用いて、二つの心理実験を行っている。これらをもとに、緑の持つ喧騒感緩和効果の存在条件とそのメカニズムを検討し、次の結果を得ている。1)緑による地区の喧騒感の緩和効果が存在する。2)地区の喧騒感は視覚情報による喧騒感と聴覚情報による喧騒感の平均化作用によって形成される。3)平均化作用は注意配分が関係し、聴覚情報への注意配分が大きくなると緑の効果は認めにくくなる。4)視覚情報から得られる喧騒感に対応する騒音レベル、すなわち期待騒音レベルが推定される。5)一方、緑の存在が騒音の侵入による地区の喧騒感の増加を誘発する効果も認められる。