著者
佐藤 優 鹿毛 美香
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.11-20, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
31

目的:特定の地方自治体の事例から,介護保険二次予防事業の長期的な効果について,新規要介護認定の発生を指標としたアウトカム評価を行うことを目的とした.方法:北九州市における,2007年度の二次予防事業(訪問型介護予防事業,通所型介護予防事業,地域交流支援通所事業,セルフプラン型介護予防事業)対象者1,936名の二次的データについて分析した.Cox比例ハザードモデルを用い,2007年度の基本チェックリスト実施から2013年3月までに起きた新規要介護認定をエンドポイントとして,二次予防事業への参加・不参加による要介護認定のハザード比を算出した.結果:要介護認定を受けた者の割合は,参加群で53.3%,不参加群で38.9%であった.二次予防事業参加群に対する不参加群のハザード比は最大で0.74(95%信頼区間:0.61–0.90)であり,不参加群の方が要介護認定のリスクが有意に低くなっていた.結論:分析の結果,二次予防事業の要介護認定の発生に対する長期的な予防効果は見られなかったが,一次予防事業等の活動と連動させた事業終了後の継続支援及び事業の評価方法に関する示唆を得た.