- 著者
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松井 克憲
鹿野 共暁
長橋 ことみ
大川 直子
有澤 奈良
成瀬 香織
鈴木 留美
稲本 裕
- 出版者
- 静岡産科婦人科学会
- 雑誌
- 静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.2, pp.126-130, 2019-09
ペグフィルグラスチムは持続性のG-CSF刺激作用を保持し、末梢血中の白血数を増加させる働きをもつ。症例は55歳。再発卵巣癌に対して、DC療法 (ドセタキセル70 mg/m2+カルボプラチン AUC≓ 5) とペグフィルグラスチムを投与中であった。DC療法4コース投与後に発熱と全身倦怠感を主訴に来院した。抗菌薬投与を行ったが、解熱を認めなかった。精査目的に撮影した造影CTで胸部大動脈の壁肥厚と左側優位の両側胸水貯留を認めたため、大動脈炎と診断し、プレドニゾロンの投与を開始した。症状はただちに軽快し、大動脈の壁肥厚も改善した。がん化学療法時に発熱とCRPの上昇を認めた症例は、細菌感染症以外にも血管炎を考慮する必要がある。