著者
松井 克憲 鹿野 共暁 長橋 ことみ 大川 直子 有澤 奈良 成瀬 香織 鈴木 留美 稲本 裕
出版者
静岡産科婦人科学会
雑誌
静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.126-130, 2019-09

ペグフィルグラスチムは持続性のG-CSF刺激作用を保持し、末梢血中の白血数を増加させる働きをもつ。症例は55歳。再発卵巣癌に対して、DC療法 (ドセタキセル70 mg/m2+カルボプラチン AUC≓ 5) とペグフィルグラスチムを投与中であった。DC療法4コース投与後に発熱と全身倦怠感を主訴に来院した。抗菌薬投与を行ったが、解熱を認めなかった。精査目的に撮影した造影CTで胸部大動脈の壁肥厚と左側優位の両側胸水貯留を認めたため、大動脈炎と診断し、プレドニゾロンの投与を開始した。症状はただちに軽快し、大動脈の壁肥厚も改善した。がん化学療法時に発熱とCRPの上昇を認めた症例は、細菌感染症以外にも血管炎を考慮する必要がある。
著者
鈴木 留美子 山岡 吉生
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、(1)Helicobacter pylori(ピロリ菌)を利用した先史時代アジアにおける人類移動経路の推定、および、(2)ピロリ菌が持つ新規疾患関連因子の探索の2つをテーマとして進めた。テーマ(1)に関しては、沖縄に特異的に見られるピロリ菌の分岐年代(2~3万年前)から、縄文時代以前に琉球列島に人口流入があった可能性が示唆された。テーマ(2)に関しては、胃がん、および胃MALTリンパ腫患者由来のピロリ菌の比較から、主要な病原性遺伝子であるcagAとvacAで、アミノ酸頻度に有意差のある座位を見出した。