著者
黄 世輝 田中 みなみ 三橋 俊雄 加藤 純一郎 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.51-60, 1997-03-31 (Released:2017-07-25)
参考文献数
18

台湾の寺廟文化は、中国大陸から渡来した漢民族による移民社会の成立とともに、地域生活と密接な関係を保ちながら発達してきた。本研究では、台湾・鹿港の文化的、社会的象徴といえる龍山寺を対象に、地域づくりにかかわる龍山寺の役割とその可能性について検討した。その結果、鹿港の地域づくりにかかわる龍山寺のあり方について、以下に示す五つの方向性について提示した。1)宗教活動の場として清浄な環境を保ちながら仏教教義の広がりに努める。2)教育の場として歴史的資産を保護、伝承しながら郷土教育を推進する。3)文化活動の場として住民参加型の文芸活動を展開する。4)観光活動の場として龍山寺の文化的価値を内外に発信する。5)憩い・交流の場として寺廟文化の情報センターの役割を担う。総じて、龍山寺は地域づくりの拠点として多くの住民が参加できる活動を展開することができる。