著者
笠野 靖代 荒木 康幸 黒崎 亮輔 上塚 翼 塚本 佳代子 川野 洋眞 原武 義和 堀内 賢二 三隅 寛泰 平山 統一
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.74-77, 2005-03-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8

【要旨】Elliottらが提唱したModified Ultrafiltration(MUF)は,小児開心術の体外循環後に短時間でHt値を上昇させることができ,術後の浮腫軽減を目的とした限外濾過法であり,小児に対する有用性は既に報告されている。我々は,成人開心術においてもMUFは有効と考え,2002年7月よりMUFを開始した。MUFは,脱血を大動脈ルートベントより行い,ヘモコンセントレーターで濃縮し,右房へ送血する当施設オリジナルの方法で施行した。今回,2004年2月から7月までの成人開心術のうち,MUFを行った40例を検討し若干の知見を得たので報告する。MUFの施行時間は7.8±1.8分,MUF中の送血Ht値およびTP値は38.2±7.3%,8.5±1.59/dLであり,MUFの前後でHt値は25.8±2.7%から28.8±3.1%へ,TP値は4.6±0.6g/dLから5.2±0.59/dLと有意に上昇を認めた(p<0.001)。成人開心術においてMUFは,短時間でHt値,TP値を上昇させる点で有効であった。
著者
荒川 和久 小林 克巳 黒崎 亮 佐藤 弘晃 富澤 直樹 安東 立正
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.409-412, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1

手術により絞扼性イレウスと診断された103例を対象として,腸管壊死群と非壊死群とに分けて,臨床症状,血液検査,血液ガス分析,CT画像の項目で比較・検討した。単変量解析では術前SIRSの有無,白血球数,PaCO2およびCT所見の腸間膜濃度の上昇,腸管壁浮腫,腸管の造影不良で有意差があり,多変量解析ではPaCO2と腸間膜濃度の上昇で有意差を認めた。絞扼性イレウスは重篤な状態に陥る可能性のある疾患であり,そのリスクの高い腸管壊死症例を早期に診断し治療することは重要である。今回の検討で有意差のあった項目に注意しながら,症状および検査結果の解釈とCT画像の読影の精度を高くすることが重要である。