著者
黒川 康久 高瀬 達夫 小山 健
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.183-192, 2005
被引用文献数
2

近年, 地方鉄道の路線廃止が相次いでいる. 多くの地方中小鉄道は大都市圏鉄道に比べ利用者が少ないために, 輸送サービスの多様化, 高度化に資する設備投資が十分に行えないのが現状である. しかし, 地方鉄道は沿線地域における通勤, 通学等また特に高齢者や, 障害者, その他自家用乗用車を保有していない交通弱者にとっては重要な移動手段である. 公共性の極めて高い鉄道において, その存廃の是非を判断するにあたっては, 鉄道事業者及び地域により慎重に行われるべきである. そこで, 本研究ではその判断指標のひとつになり得る地方鉄道の価値を評価するために, 実際に存続問題が浮上している長野県にある上田交通別所線を対象とし, CVM (仮想評価法) を用いて地方鉄道別所線の価値評価を行った.