著者
小山 健太郎 関口 和真 野中 謙一郎
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.746-754, 2014 (Released:2014-10-18)
参考文献数
13
被引用文献数
5 6

In this paper, we propose a path-following control for front-steering vehicles based on time-state control form (TSCF) using travel distance as a virtual time-axis. The technique of TSCF can transform the nonlinear dynamics of front-steering vehicles into two linear subsystems. The proposed method uses a travel distance as a virtual time-axis based on geometric relationship between controlled vehicle and reference path. This method can realize path-following control independent of vehicle heading angle. In addition, we utilize the proposed method in model predictive parking control considering the constraints of vehicle steering angle, travel range and singular point. This method can realize parking control in the area larger than the conventional method. The performance of proposed method is verified through numerical simulations and experiments with a one-tenth scale model car.
著者
黒川 康久 高瀬 達夫 小山 健
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.183-192, 2005
被引用文献数
2

近年, 地方鉄道の路線廃止が相次いでいる. 多くの地方中小鉄道は大都市圏鉄道に比べ利用者が少ないために, 輸送サービスの多様化, 高度化に資する設備投資が十分に行えないのが現状である. しかし, 地方鉄道は沿線地域における通勤, 通学等また特に高齢者や, 障害者, その他自家用乗用車を保有していない交通弱者にとっては重要な移動手段である. 公共性の極めて高い鉄道において, その存廃の是非を判断するにあたっては, 鉄道事業者及び地域により慎重に行われるべきである. そこで, 本研究ではその判断指標のひとつになり得る地方鉄道の価値を評価するために, 実際に存続問題が浮上している長野県にある上田交通別所線を対象とし, CVM (仮想評価法) を用いて地方鉄道別所線の価値評価を行った.
著者
小山 健一郎 稲永 俊介 安浦 寛人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.19, pp.53-56, 2007-03-04
被引用文献数
5

近年,価値を表すデジタルデータをICチップに保存するストアバリュー型電子マネー[11と呼ばれる電子マネーシステムが注目されている.これまでに提案された電子マネーシステムの安定性に関する手法は,ほとんどが暗号技術や耐タンパー技術といったセキュリティ技術に基づいている[3]・では,仮にこれらのセキュリティー技術が破られたとすると,電子マネーシステムは即座に破綻してしまうのだろうか.そこで,本稿では電子マネーシステムの「セキュリティ技術やプロトコルとは独立した」安定性について検証するそのために,まず貨幣の集合論的なモデルを構築し,そのモデルに金銭の流通操作を加えた貨幣システムモデルを提案する.さらに 貨幣システムモデルを電子マネーに適用し,紙幣型マネーシステムモデルと残高型マネーシステムモデルという2つの価値保存形式の異なる電子マネーシステムモデルを提案する.最後に,紙幣型システムと残高型システムにおける「偽価値量」の検知可能性について考察する.ここで 「偽価値量」とは電子マネーシステム内に正規に追加されたものではない価値量のことをいい,現金通貨での偽札や偽硬貨に相当するものである.本稿では,残高型における三者間の偽価値量の譲渡操作ののちに,この偽価値量が検知できなくなってしまうことを示した.Many attentions have recently been paid to the so-called value-storing type of electronic money. Since any money operating system requires extremely high stability, information security technologies such as Cryptography and tamper resistance have been developed for maintenance of the stability of the system. But, what happens if those securities are attacked and broken? In this paper, we study the stability of electronic money systems which is independent of the security technologies and the protocols used. In so doing, we firstly develop a set-theory-based model for general money systems, and extend it to a general money system model by adding to the set-theory-based model some operations for circulation of money. Then, we propose a model for electronic money systems modifying the above general money system model. In particular, two different types of electronic money system, a note-type money system model and a balance-type money system model, are proposed in this paper. Lastly, we study possibilities of detecting a "fake value" that has been circulated in the note-type and balance-type money system models. Here, a "fake value" applies to a value which was not issued by the originator (or issuer) of the system, and thus it corresponds to a counterfeit of cash currencies. As a key feature of this work, we show that a fake value becomes impossible to be detected after it is transferred between at least three users.
著者
山本 信弘 大道 乃里江 戸田 百合子 小山 健蔵 須藤 勝見
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C5)教科教育 05 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.p203-215, 1991-02
被引用文献数
1

昭和20年から現在に至るまでの性教育に関する書物を調査し,教育のなかで性教育はどのようにとりあげられ,位置づけされてきたかを検討した。その結果,性教育は,1)道徳面を重視した純潔教育の時代 2)純潔教育批判から生じた性の生理的側面が強調された教育の時代 3)生理的,心理的,社会的側面を含む人間としての総合的な教育の時代の三つの歴史的段階が認められた。また,学校教育のなかでの位置づけが不明瞭であることが教育現場での性教育の定着を妨げていることが示唆された。
著者
高瀬 達夫 涌井 克明 小山 健
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_57-I_67, 2011

近年,地方鉄道では自動車利用への転換や少子化などにより利用者が減少し,厳しい経営を強いられているところが多い.長野県においても,現在存続問題を抱えている路線として,上田電鉄別所線,長野電鉄屋代線,松本電気鉄道上高地線の3路線があり,各地域で検討されている.これらの路線は地域の交通手段として重要な役割を果たしており,路線の存廃に関しては慎重な判断が求められるが,そのための判断指標の1つとして各路線がもっている価値評価を算出することとした.<br> 路線価値を計測する具体的な方法として,各路線の沿線および沿線以外の住民に対しアンケート調査を行い,調査データを用いてCVM(仮想市場評価法)による路線の価値を推定し,沿線と沿線以外で支払意思額の比較や,支払意思額に影響を与える要因の把握を行った.さらに地元自治体が支援している補助金の妥当性についての検討も行った.
著者
大和 裕幸 渡辺 岩夫 小山 健夫
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1994

「SES型高速艇(側壁型エアクッション艇)の運動制御システムの研究」は平成6、7年度の二カ年に渡り行われた。このタイプの高速船では、ある海象条件以上では、波浪に対する船体運動応答とそれにより生ずる推進性能の低下が起こり、高速が出し得ないという定時性の重要視される高速交通機関では致命的な問題がある。本研究では、シミュレーションを通して、この船舶の波浪中の推進性能、運動応答を把握し、その特性を理解することから始めた。SES型高速艇の運動は、いわゆる非線形影響の無視できない力学系で、制御系としての取り扱いも難しく、船体に取り付けられたルーバーとフインを用いてバンバン制御やファジ-制御で俊敏な応答が必要であることがわかった。また、波高に対する船体推進性能の特性をシミュレーションに抵抗成分を取り入れることで大雑把に把握したが、このことは制御系設計により船体計画の段階から取り入れる手法を示し、今後の船舶設計のあり方として非常に示唆に富むものと考えられる。非線形影響の大きい系に対して、理論的に制御システムに取り込むことは困難であるため、スライディングモード制御手法を用いて非線形に応じた制御入力を設定出来るシステムの有効性について検討した。スライディングモード制御は基本的に非線形性の比較的弱いところに有効でかなり強い非線形影響をもつSES型高速船の運動には工夫が必要であることがわかったため、それを改良した修正スライディングモード制御手法を提案、本システムでシミュレーションを用いて検討した。これらSES型高速艇の制御手法を運動応答の解析と、非線形制御手法の検討から本研究を取りまとめた。本研究は、今後のSES型高速艇実用化への最も重要な課題を一つとなるもので、研究的にもまた実際の設計上も重要なものであると自負している。
著者
小西 貞之 大道 乃里江 小山 健蔵
出版者
大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター
雑誌
学校危機とメンタルケア (ISSN:1883745X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.33-43, 2011-03-31

学校生活アンケートは、いじめの早期発見・早期対応のために、児童生徒からのサインを把握することを目的として作成された。「自己概念」、「学習意欲」、「友だちとの関係」、「学級風土」、「教師との関係」と「学校・部活動等回避感情」の6領域及び自由記述から構成されている。今回、それを基に、中学生の学校生活の実態を調査し、学校生活がこれら領域でどのような特徴を示すのかを明らかにすることを目的とした。中学生の学校生活アンケートの実態から、1年生では、「友だちとの関係」と「学級風土」、2年生では、「学習意欲」と「教師との関係」、3年生では、「学校・部活動等回避感情」が学校生活の領域で顕著な変化を示し、各学年で注視しなければならないことが示唆された。To grasp the sign from children and/or students for the early detection and correspondence of bullying, the school life questionnaire was made. It is composed of six factors, self-concept, motivation to learn, relationship with friends, climate of class, relationship with teachers and evasive feelings from the school and club activities, and a free description. This time, it aimed to investigate junior high school student's actual condition at the school life based on it, and to clarify what feature the school life showed in these factors. From junior high school student's actual condition at the school life questionnaire, it was showed that factors of the school life were changed by relationship with friends and climate of class in the first grader, motivation to learn and relationship with teachers in the second grader, evasive feelings from the school and club activities in the third grader. It was suggested that teachers have to gaze at the school life by each school year.
著者
佐藤 伸治 小山 健一 糸谷 孝行 宮本 聖一 丸山 稔正
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.123, no.4, pp.442-449, 2003-04-01
被引用文献数
4 6

We developed a multifunctional vacuum interrupter that has three functions: current interruption, disconnection, and earth operation in a vacuum vessel. Using the multifunctional vacuum interrupter, we realized 24 kV, 630 A, 25 kA rated switchgear that do not use SF<SUB>6</SUB> gas. In addition, we could downsize the switchgear greatly compared with conventional switchgear by applying excellent vacuum insulation characteristics. In this paper, we report the backgrounds and the solutions of the following technical problems regarding vacuum insulation inside the multifunctional vacuum interrupter: (1) Improvement of breakdown voltage between the vacuum vessel and high voltage flexible conductors, (2) optimization on the shape of shielding electrodes set at both ends of an insulating rod, (3) removal of conductive micro particles and improvement of breakdown voltage between contacts by using AC working voltage, and (4) identification of long-term reliability of vacuum insulation under the continuous application of AC working voltage.
著者
小山 健一 山口 洋典
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.17-32, 2010-09

論説(Article)本論文は、民間の劇団による公的事業の展開に着目し、フィールドワークを通じて、文化芸術分野からの地域活性化の方策を取りまとめたものである。特に、第一筆者が自治体からの交付金を得ておこなった演劇公演の運営を経て感じてきた、創造集団における「作家性・芸術性」とアートマネージャーによる「戦略」とのあいだで生じた衝突・軋轢の中から、いくつかの検討を重ねた。実践に対しては、文化政策やアートマネジメントの観点から論考がなされた。そして、(1)公立文化施設での非文化芸術分野の活動への公的資金充当で市民芸術家は育成されるか、(2)アートマネージャーと創造集団の代表者とのあいだにはどのような確執があるかについて接近している。これらを通じて、公による文化施設の活用、すなわち「アウトリーチ」の視点に加えて、民による公への「インリーチ」の観点が重要であることを明らかにした。そして、アウトリーチとインリーチが断続的に展開されること、すなわち反復的交替するとき、公民協働のダイナミックスが導かれることを示し、その状態を担保するために民に求められる視点をまとめた。This fieldwork argues about the difficulty of the community revitalization through a private theatrical company with local government. The difficulty is featured of the gap between artisticity and strategy in the 1st author's practice. From reviewing some references especially in arts management and cultural policy studies, two critical points became clear. (1)How can public fund develop a citizens' art movement in cultural facilities. (2)What kind of discords are generated between Arts manager and representative. mutually as feed-forwarding to create the better future. Finally, this paper proposed the importance of private inreach activity for public outreach program. Furthermore, we had pointed it out about the necessity of repetitive change in project independence which is started from a citizen's action to keep the dynamics on inreach and outreach.
著者
小山 健一
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.45-61, 2009-12

研究ノート(Note)本稿は、わが国の地域文化政策のあり方について、演劇を事例にまとめたものである。考察にあたり、はじめに、演劇の定義や社会的効用について、先行研究をふまえながらまとめた。次に、演劇の振興をはかるうえで重要な役割を果たすこととなる行政と劇団については、いずれも筆者の活動フィールドであることから、その現状の整理と課題の析出に多くの分量を割いた。そのうえで、地域文化政策のあり方を提示した。本稿では地域文化政策を論じるうえで協働という概念を採用しており、協働する主体を「行政」「劇団」「アートNPO」「企業」の4つとした。また、協働のあり方については、それぞれが他の協働主体に対し、どのようなコンテンツを提供することが必要かという観点から論じた。特に、行政や劇団、アートNPOについては、アウトリーチとよばれる活動に焦点を当て、そのうえで協働主体としてのあり方を提示した。その際、筆者みずからが参加した関連活動における事例をいくつか紹介した。最後に、4者が協働による地域文化政策において果たすべき役割を、主体間の相互作用も含めて明らかにしたうえで、今後の展望と課題を示した。本稿は2009年6月27日、28日両日に、大阪市立大学にて開催された日本演劇学会全国大会において、筆者がおこなった研究発表に大幅な加筆修正を加えたものである。I argue in my paper the local cultural policy, especially theater arts ,  in Japan. First, I review the previous research to define social effects by theater arts . Second, I discuss about the administrative policy of local government and the situation of the theatrical company from my action research. In this paper, "collaboration" is the key concept for an appropriate cultural policy agreement with local government, theatrical company, nonprofit organization in Arts and profit organization. This kind of collaboration brings about cooperation to share the each contents and ideas each other. And this paper feature the action which is called "outreatch" by collaboration among stakeholders in my practices as the cases. Finally,  I show the the roles of collaborators in a local cultural policy,  especially theater arts . Incidentally, this paper is based on the my presentation in the Japanese Society for Theatre Research annual conference 2009 on June 27-28 at Osaka City University.
著者
山根 祥雄 小山 健蔵 白石 龍生 安井 義和 YAMANE Yoshio
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

近年、国内外の学校安全が脅かされ、死傷事件が後を絶たない。先例を教訓化して、同様な事件・事故の再発を防ぎ、被害を最小化するために、学校管理の強化、および死傷事件の際における緊急の組織対応のあり方の具体的かつ総合的な検討が本研究の目的である。しかし、学校安全管理、緊急の組織対応に関して、研究調査・情報・知見が決定的に不足しているので、附属池田小学校、アメリカ合衆国・コロンバイン高校、イギリス・ダンブレーン小学校を訪問し、各事件を再検証した。さらに各事件を教訓とする各国の安全管理、予防策、緊急の組織対応に関する全国的方針、および悲惨な事件の被害者のメンタル・ケアなどを学んだ。一方、学校安全を推進する国内の避難訓練にも立会い、安全管理の強化や非常時の組織体制などを調査した。ロサンゼルスの学校安全管理システムは、予防・防止・緊急の組織的対応が包括的実働的であり、参考になる。昨今、学外不審者にとどまらず、児童生徒による事件など、多様な要因、危険の増大と予測の困難な傾向であるので、立地条件に応じた一層の安全管理、迅速即応・臨機応変の対応、情報の共有化・有機的連携などが要請される。リアルな緊急組織対応のための研修や実際訓練によって、危機回避・避難・対応の着想力やスキルを培う機会の設定が不可欠である。こうして、危険性の確認、管理維持・強化、組織体制の点検、地域・家庭・学校の連携、避難訓練の継続などが必要とされる。また、学校・家庭・地域が緊密に連携し、総合的に子どもを守る取り組みが提唱され、いわばグローバルなモデルとされている。本研究が、安全確保を生存の基本として、万一の場合における安全の一層の管理・整備、予備的な対応方法の準備・訓練の契機となり、通常の学校運営への示唆ともなれば幸甚である。