著者
黒川 朋広 中村 攻 木下 勇
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.245-248, 1996-03-29
参考文献数
3
被引用文献数
3

本研究では千葉県佐原市の山車祭りを事例に祭礼における都市空間の使われ方の変遷を見た。その結果以下の点が明らかになった。古い市街地の狭い道路も山車の通行の見せ所の舞台となっており,都市の変容とともに電線などの障害が生じてもそれを克服する工夫が見せ場ともなっていたように,都市の変容に合わせて祭礼の工夫がなされてきた。が,モータリゼーションや商業構造の変化といった大きな変化は祭礼における空間利用の意味をも変えつつある。祭礼における空間利用には歴史的にもまた人の関わりという面でも多義的な意味が内在している場合もあり,そのような場の意味を再評価しながら祭礼を都市空間の整備に活かしていくことが必要である。