著者
黒川 洸成 長澤 由香子 光武 翼 吉塚 久記
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
pp.2023-003, (Released:2023-06-12)

本研究は,超音波療法後の腓腹筋の筋硬度変化を検討し,超音波療法が腓腹筋の各部位へ及ぼす影響の違いを明らかにすることを目的とした.健常大学生20名を対象として,腓腹筋内側頭の近位部・筋腹部・遠位部へ周波数3 MHzの超音波療法を実施した.筋硬度の評価にはストレインエラストグラフィによる歪み値を採用し,皮膚から腓腹筋最深部までの距離は超音波画像を用いて計測した.本研究の結果,腓腹筋の筋腹部と遠位部の歪み値は介入後に有意に減少した一方,近位部の歪み値は介入前後で有意差が認められなかった.また,近位部の皮膚から腓腹筋最深部までの距離は,筋腹部や遠位部よりも有意に大きかった.腓腹筋に対する周波数3 MHzの超音波療法では,部位によって影響が異なることが示唆され,腓腹筋最深部までの距離の違いはその要因であると考えられる.腓腹筋の超音波療法では,組織深度を考慮した部位別の照射設定の検討が必要である.