著者
植田 英治 吉見 富洋 古川 聡 小野 久之 朝戸 裕二 登内 仁 井上 真也 黒木 義浩 雨宮 隆太 小泉 澄彦 長谷川 博
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.2010-2013, 1996-10-01
被引用文献数
4

私たちは,患者がより良い医療を受けるためには患者自身が自分の病気について知っていることが不可欠であると考え,癌告知を積極的に進めてきた.告知に際して原発臓器・進行度・年齢・性別等は考慮しなかった.外科手術患者543人に癌告知を行い,生存していてアンケート実施可能な患者413人のうち366人(配布率89%)にアンケートを実施し,300人(回収率82%)より回答を得た.89%の患者が,「病名を告げられてよかった」と答えており,「癌では無いと嘘をついて欲しかった」と答えた患者は1%であった.告知により55%の患者がショックを受けたと答えていたが,回答患者の87%が3か月以内に立ち直ったと答えていた.現在当科では,癌であることを「知らないでいる権利」をも尊重する目的で,全初診患者を対象として,外来で告知希望の有無を確認した上で告知を進めている.癌告知を広く積極的に進めるべきであると考えられた.