- 著者
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黒木 賢一
- 出版者
- 日本トランスパーソナル心理学/精神医学会
- 雑誌
- トランスパーソナル心理学/精神医学 (ISSN:13454501)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.1, pp.38-48, 2012 (Released:2019-08-08)
四国遍路は、弘法大師空海の信仰を基にした八十八 カ所の札所を巡る巡礼である。 四国四県をつなぐ遍路道は、密教の「胎蔵界曼荼羅」 で説かれている「四転説」による4つの道場として位 置づけられている。徳島県は「発心の道場」、高知県は 「修行の道場」、愛媛県は「菩提の道場」、香川県は「涅 槃の道場」として仏道修行の場である。 筆者は、2007年10月から2008年の間、歩き遍路で「結 願」した。四国遍路における歩き体験は、非日常の時 空間に滞在し、長時間歩くことで意識を変性させ、聖 なる次元へと押し上げる。その体験は心理療法の体験 過程と類似している。聖なる次元について、ユングの 「自我と自己軸」とウィルバーの「意識のスペクトル論」 を用いて説明する。