著者
黒澤 良輔
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.113-122, 2017-09-09 (Released:2018-04-18)
参考文献数
15

アメリカ精神医学会による「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM-5)」によっていくつかの診断基準が変更され,「広汎性発達障害」は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」となった。 本研究は,大学生における自閉症スペクトラム(Autism Spectrum:以下ASという),大学生活における支援ニーズ及びエンプロイアビリティ(雇用されうる能力)の関係について分析しようとするものである。 約200名の大学生に対して,AS質問紙,支援ニーズ質問紙,エンプロイアビリティ質問紙を実施し,得られたデータを因子分析及びクラスタ分析によって分析した。 その結果,(1)AS特性の高い者は,大学生活において困難を感じやすい,(2)AS特性の高い者は,エンプロイアビリティが低い,(3)AS尺度得点,及びエンプロイアビリティ尺度得点の組み合わせによって学生を5グループに分けることができ,AS特性が高くエンプロイアビリティが低い者は全体の約8%であることが認められた。