著者
向川 均 黒田 友二 黒田 友二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

2010年夏季にロシア上空で出現した長寿命のブロッキング高気圧の維持メカニズムと予測可能性について解析を行った。その結果、このブロッキング高気圧の維持には、次の2つの異なるメカニズムが重要であることが明らかになった。まず、ブロッキングの予測精度が明瞭に悪化した7月下旬では、ブロッキングの上流側に存在した気圧の谷に伴う対流圏上層での水平発散が最も重要であった。一方、8月初旬では、ユーラシア大陸西部の対流圏上層に存在する気候学的な水平収束場に高気圧性偏差が重畳することで生ずる渦度強制が重要であった。これらの2つの維持メカニズムは、このブロッキングに特有のものであることも示された。