著者
下村 奈々子 黒田 圭子 松本 鉄也
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第3部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.57-64, 2014-02

大阪教育大学の学生32名を対象とし,心拍変動に対する精油の効果について検討を行った。精油はイランイラン,ローズマリー,ペパーミントを使用した。心拍変動は精油吸入前の前後で比較した。心拍変動の高周波(High Frequency: HF)成分,低周波(Low Frequency : LF)成分を測定し,副交感神経の指標にはHF成分,交感神経活性の指標にはLF/HFを用いた。精油の嗜好調査も行い,心拍変動に対する精油の効果におよぼす嗜好の影響も検討した。 選択した精油を好きな場合には副交感神経機能が活性化し,そうで無い場合には交感神経機能が活性化する傾向を認めた。特に,ローズマリーを好きな群ではLF/HFは有意に減少した。 ローズマリーは交感神経機能を活性化する報告が多いが,その匂いが好みの場合には精油が持つ本来の効果を越えて副交感神経機能を活性化することを示唆している。すなわち,精油自体の特徴,効能も重要であるが,さらなる副交感神経機能の活性化を得るためには各々の精油の嗜好を考慮する必要がある。